2011年3月11日東北地方太平洋沖地震の東日本太平洋沿岸における地震動について

2011年3月16日作成
2011年3月17日更新

図1に示す強震観測点の記録を震源近くから南へ向かって震央距離順に並べました。 ここでは、独立行政法人防災科学技術研究所の強震観測網K-NET及びKiK-netによって観測され、公開されている記録を使用しています。 研究所の所在するつくば市もこの地震による被害を受けられ、研究所も復旧作業の最中にある中で、このような貴重な観測データを早期に公開された 関係者の皆様のご尽力に心から感謝申し上げます。

最大値の情報など観測記録に関する基本的な情報は防災科学技術研究所 強震観測網のサイトをご参照ください。

記録はオリジナルの加速度記録を時間領域で1回積分して速度記録として、3秒〜50秒の帯域通過フィルターを通しています(図2〜4)。 これらの図の横軸の単位は発震時からの経過時間(秒)です。 ちなみに速度波形の縦軸のスケールは全地点で共通です。 震央距離の基準点を気象庁による震央位置にしました。 図中の水色と桃色の実線はそれぞれJMA2001走時表によるP波初動とS波初動の理論走時です。 震源から励起されたと考えられる地震動が伝播している様子がよくわかります。 主に2つの波群がみられ、これらのは群の時間差は大雑把には約50秒くらいあります。このほかにも伝播する波群が見えそうです。 最初の波群は震源(破壊開始点)近くで生成されたS波とみえ、茨城県方面に向かって振幅が減衰しています。 そのほかの波群の生成源の解明など、詳細な分析が今後も必要です。

図1: 解析に使用した観測点の分布。

使用した観測点分布

図2: 速度波形の東西動成分(周期3〜50秒)。震央距離順に並べている。

速度波形の東西動成分

図3: 速度波形の南北動成分(周期3〜50秒)。震央距離順に並べている。

速度波形の南北動成分

図4: 速度波形の上下動成分(周期3〜50秒)。震央距離順に並べている。

速度波形の上下動成分

謝辞

独立行政法人防災科学技術研究所の強震観測網K-NET及びKiK-netの強震記録を使用しました。 気象庁の一元化震源情報を使用しました。 地形データはETOPO1を使っています。 <浅野公之・岩田知孝>