穴水での余震観測速報


穴水 K-NET穴水では、震度6強の揺れを記録しました。穴水は直径2kmくらいのひろがりをもつ盆地に位置しており、住家は盆地中央を流れる山王川のあたりに集まっています。 現地入りした26日に家屋の倒壊等が多く見られたK-NET穴水周辺を含む地域に地震計を4つ設置し、同時余震観測を行いました。ノイズレベルが高く、短時間の観測では良好な記録を十分に得ることができていませんが、以下のような余震記録が得られ相対的にK-NET穴水付近は揺れやすいことがわかりました。
観測地点を図1に示します。東から、穴水町役場の駐車場(TWN,周辺のがけは岩に見えます)、法性寺(HOS, 鐘楼が移動したところ)、 K-NET穴水観測点の横の道路(KNET)、穴水中学校グラウンド(CHU)に置きました。地震計はSMAR-6A3です。

図1:穴水での余震観測点

4地点同時に観測されたのは1時間程度でした。このうち、SN比のよい10時40分頃に起きた地震記録を下に示します。成分は東西成分で速度波形を示しています。縦軸は同じスケールですので、最大値でTWN, CHUに比べてHOS, K-NETの震動が大きいことがわかります。最大振幅は約7倍違います。見た目でもわかるようにHOSやK-NETでは1.2Hz(0.8秒)くらいの揺れが長く続いていることもわかります。


TWNを基準にS波部分のスペクトル比をとると、HOS, K-NETは1-2Hzくらいの範囲ではスペクトル比が10近くにもなっていることがわかりました。 なおここの細線は、上の図に示したイベントではない小さいイベントの記録のスペクトル比です。それらのスペクトル比も同じ傾向を示すことから、震動レベルの小さいときには、TWNに比してスペクトル比で10倍もの差が1〜2Hz程度の周波数範囲においてあると考えられます。

ここで示した比較は震動レベルの小さい余震記録でのものなので、本震時の強震時の特性もこの倍率であるとは簡単にはいえませんが、K-NET,HOSなど大きい被害を被った領域は、強いサイト増幅特性をもつ地点であるといえます。K-NETのHPにあげられている観測点の地盤情報では、穴水サイトは10m程度の高有機質土が堆積しており、深さ15m程度までのN値が小さく、Vs=60m/s〜130m/sと報告されています。このような地盤特性が揺れを増幅したと考えられます。 なおスペクトル比においてハッチをかけた部分はSN比を現在確認しているところです。

岩田知孝

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