京都大学防災研究所 地震災害研究部門 強震動地震学分野 岩田知孝
2003年10月2日00時30分 作成
K-NET観測点HKD086(直別)では,最大加速度800cm/s/s,最大速度120cm/s,計測震 度として6強(6.4)相当の強い地震動が観測された (別項参照). 速度応答 スペクトルでみると,兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台に匹敵する地震動強さであ ったといえる.K-NET観測点は地盤変動の影響によって傾斜するといった事態にも陥 っている. 同じ防災科技研のF-NET観測点である浦幌観測点(基盤観測点と仮定)に設置されて いる速度型強震計記録と比較してみた.これらの観測点間距離は15km 程度であり,震源域からみると同程度の距離にあると考えられる.実際直別の積分さ れた速度記録の長周期の波形は似通っており,震源からの長周期パルス波が伝わって 来ていることがわかる.(図1)
しかしながら,浦幌の最大速度は20cm/s程度であり,最大速度で比較して,直別は6 倍も大きいことがわかる.波形全体のスペクトル及びその比をとって比較してみた (低周波数側は直別の記録のノイズレベルなので,0.1Hzでカットしている.高周波 数側は,8Hz 程度まで)(図2).1Hzあたりを中心に直別の増幅率が大きいこと がわかるが,それより低周波数側の0.1-0.2Hzあたりでも2,3倍増幅している特徴 がある.局所的に大規模な堆積構造があることが考えられる.
各観測点・成分の振幅スケールはすべて同一である。
HKD086とURHの振幅スケールは異なる。。
(文責:岩田知孝)