2011年2月24日更新
2011年2月22日にニュージーランド南島のクライストチャーチ市の南で発生した地震(M6.3)の強震波形記録がGNS Scienceの運営するGeoNetから公開されているので, 観測された強震動の特徴を整理した.
平成8年気象庁告示第4号に従って計算した計測震度から求められた日本の気象庁震度階相当値の空間分布を図1の地図に示している. 震度が最も大きかったのは震源のほぼ真上に位置するHVSC観測点で震度6強相当(計測震度6.4)であった. 報道等によって多数の被害が報告されているクライストチャーチ市街地(右図の黒丸で大まかな位置を示している)でもREHS(計測震度6.2)で震度6強,周辺でも震度6弱に相当する揺れが観測されている.
周期0.5秒では震央に近いHVSC観測点での揺れが最も大きいですが,周期1秒以上ではクライストチャーチ市街地での揺れが相対的に大きい.
主要な観測点での速度波形を示す.振動が卓越している方向の成分をそれぞれ示している. 比較のため,1995年兵庫県南部地震の神戸海洋気象台(KOB)もあわせて載せている. 市街地中心部(REHS, CCCC, CHHC)の記録には後続動に周期3秒の波がみられる.
クライストチャーチ市街地(REHS, CCCC, CHHC)では,周期1秒以下の短周期の地震動の応答値は, 1995年兵庫県南部地震の際の神戸海洋気象台(KOB)の記録を下回っているが, 周期1秒以上ではKOBと同等もしくはやや大きい地震動が観測されている.
謝辞: GeoNet (GNS Science, New Zealand)の強震記録を使用しました.関係者の皆様に感謝いたします.
(京都大学防災研究所 地震災害研究部門 強震動研究分野 浅野 公之・岩田 知孝)