2013年4月13日開設
2013年4月15日更新


2013年4月13日淡路島付近の地震(MJMA6.3)の強震動

2013年4月13日5時33分頃、淡路島西岸付近を震源とするMJMA6.3の内陸地殻内地震が発生しました。 この地震で観測された強震波形記録について概要を整理しました。 以下では、独立行政法人防災科学技術研究所の強震観測網 K-NET及びKiK-net、関西地震観測研究協議会、独立行政法人建築研究所、京都大学防災研究所(宇治、時計台、上賀茂、宇治田原、淡路市富島)で観測された強震記録を解析に使用しています。

観測された地震動の空間分布

データを解析した地点の中で、最大加速度が最も大きかったのはK-NET HYG026(五色)で、586cm/s2でした。 この観測点は震央に最も近いところに位置しています。 K-NET HYG025(洲本)で470cm/s2、HYG024(東浦)で373cm/s2でした。

最大速度が最も大きかったのは、HYG024(東浦)で27cm/sでした。 この地点は淡路島北部の東海岸(淡路市)に位置しています。 観測されている速度波形は周期0.5秒程度の地震動が卓越しており、K-NETのWebサイトで公開されている土質図によれば、S波速度の遅い砂が20m近く堆積していますので、震源の影響というよりはサイト特性によるものと予想されます。 そのほかに、10cm/sを超えた地点が4つ(HYG025,HYGH01,HYG026,TKS001)あります。

最大地動加速度の分布 最大地動速度の分布
最大地動加速度の分布(震央付近) 最大地動速度の分布(震央付近)

観測された地震動の距離減衰

最大水平加速度及び最大水平速度を司・翠川(1999)の距離減衰式(内陸地殻内地震、Mw5.8、深さ15km)から得られる予測値と比較しました。 観測値にはサイト特性の補正をしていませんので、硬い地盤(青)と軟らかい地盤(緑)の予測値と比較しています。 HYG024(東浦)での最大水平速度が大きいことを除けば、既往の経験式とよく整合している地震動です。

最大水平加速度の距離減衰 最大水平速度の距離減衰
最大水平加速度の距離減衰(震央付近) 最大水平速度の距離減衰(震央付近)

いくつかの地点での擬似速度応答スペクトル

最大速度が最も大きかったHYG024(東浦)と大阪湾岸に位置するOSKH02(此花)とSKS(咲洲)での擬似速度応答スペクトル(減衰5%)を計算しました。それぞれ水平2成分のうち大きい方をプロットしています。 HYG024では、周期0.5秒付近で擬似速度応答が89cm/sに達していますが、国内の顕著な被害地震に比べれば小さいです。 OSKH02及びSKSでは、周期6.5秒付近の長周期地震動がこの地震でも卓越していますが、その周期での大きさは2011年東北地方太平洋沖地震の際の観測値の約5分の1です。

また、1995年兵庫県南部地震(MJMA7.3)の際に地震動が大きかった神戸市内の当時の観測記録(KOB:神戸海洋気象台、TKT:鷹取)と比較しました。 周期1秒以上の地震動は、マグニチュードの大きい1995年兵庫県南部地震の神戸市内での地震動が、2013年4月13日の淡路島付近の地震による淡路島での地震動を上回っています。 周期0.5秒程度の短周期帯域では、淡路島の地震が上回ることはないものの、ほぼ同等でした。 ですので、周期0.5秒の地震動に注目すれば、地域によっては1995年の地震の時と同程度の強さの揺れが感じられていた可能性があります。

応答スペクトルの比較

謝辞: 独立行政法人防災科学技術研究所 強震観測網関西地震観測研究協議会独立行政法人建築研究所および京都大学防災研究所の強震記録を使用しました.関係者の皆様に感謝いたします.

(京都大学防災研究所 地震災害研究部門 強震動研究分野 浅野 公之)