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岩田知孝(2017.3.1記)
この研究室では、地震時の強い揺れ(強震動)の研究を行っています. 研究成果、構成メンバーについては 研究室のHP を参照にしてください。



当研究室では,地震被害を引き起こすような強い揺れ=強震動=がどのように 生じるのか,についての研究を行っています.地下の岩盤がずれることにより 地震波が生成され,その地震波が地中を伝播してきて地表にとどくことによって 地震動(強震動)となります.地中の岩盤のずれがどのようであったか, またどういったところを伝播してきたかによって,強震動の特徴は決まります.
日本は,地下では4枚のプレートが押し合っている プレート境界に位置しており,世界でおきる約10%の地震が,陸地面積ではたった0.25%の 日本の陸域とその近くの海底下で起きています.地震の数が多いほど,規模の大きい地震も 頻発するため,日本という国はいつも地震で「揺すられている」と言えるかもしれません.
プレート境界付近では,プレート境界で起きる地震(プレート境界地震)や,プレート境界 の近くの大陸プレート内で起きる地殻内地震(活断層などに関係する地震),沈み込む プレート内でおきる地震(スラブ内地震)といったタイプの地震が発生します.これらの 地震がひっきりなしに起きていたのだと考えられますが,特に最近では 1995年兵庫県南部地震(震災の名前としては,阪神・淡路大震災)以降,活断層に関係する 地震が発生し,また,2011年3月11日にはMw9.0の東北地方太平洋沖地震 が発生して,巨大津波による大被害を主とした東日本大震災が引き起こしました.
昨年には,4月14日M6.5の地震にはじまり,16日1時25分のM7.3の本震が発生する2016年 熊本地震が起きました.前述の2回の地震で,熊本県益城町では震度7の揺れになりました. 本震では西原村でも震度7を記録しました.その後,震源域のみならず,震源域の南西側や 北東側になる阿蘇から別府に至る地域で活発な地震活動が続きました.
地震から1年が経とうとしています.M7クラスの内陸地震が起きたら,その近くでは大きな被害が 起きるような揺れに見舞われることは神戸の地震以降,内陸地震が起きる度に検証されてきました. 今回の地震では,改めて,被害地震を経験して改正されてきた新しい建築基準法での建物の耐震性が 優れていることと,古い建物は危険性が高いということが示されました.震度6強や7の揺れに 見舞われたとしても命を落とさない,財産も減らない,といったことを実現するためにも 揺れの特性を分析し,その原因を探る研究は継続される必要があります.
当研究室では,熊本地震に関して,浅野准教授が 2016年熊本地震と関連する活動に関する総合調査」への科学研究費補助金(特別研究促進費) の研究グループで,強震記録を使った震源過程(M6.5及びM7.3)の研究を行い, EPSに掲載されています.興味のある方はご覧になってください. 2016年熊本県の地震の情報 このページには,私も震度7の加速度記録からちょっと工夫をして速度,変位記録を求めています. 変位記録を得たことで,今回の本震の震度7の記録には,いわゆるnear-field termが現れている ことがわかりました.
今回の熊本県の地震活動は,布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯という 活断層の一部が活動したと考えられます.1995年兵庫県南部地震と同様,活断層が 動いてその直上あたりで強烈な地震動が生成し,建物を襲った,ということができます. 神戸の地震の時の震度7相当の震動であったJR鷹取の記録と今回の震度7の記録を比較すると, 変位記録にnear-field termの影響が大きい益城,西原の記録に比して,JR鷹取の記録には near-field termと考えられる成分はほとんどありません.これは,神戸の地震の神戸側では 地表の近くではすべりがなかったことを裏付けています.
関西に住んでいる私達が考えなければならない地震としては, 南海トラフでおきる「東南海・南海地震」と活断層に関係する内陸地殻内地震 があげられます.約100年~150年間隔で発生している南海地震の間には,内陸の 活断層に関係する地震が発生し,その発生の度合いは,南海地震後より次の 南海地震が起きる前に集中すると言う研究があります(Hori and Oike, 1996). 1946年昭和南海地震から70年経ち,次の南海地震への備えが指摘される中, その巨大地震である南海地震や,都市の直下で起きる可能性の高い内陸地殻内地震 の時の揺れ(強震動)の予測を高度化して,次の地震への備えを進める必要があります. 熊本の地震の揺れの解析によってわかったことは,将来発生する,活断層に関する地震の 強震動をよりよく知るためには重要な手がかりとなります.
当研究室では,地震災害に強い,安心・安全な社会を構築することを目的として,その基礎と なる強震動予測の研究をアウトプットのひとつと考え,強震動予測の信頼度や精度 を高めるために,起きた地震の揺れの分析を行って,こういった揺れを作った岩盤の ズレはどのようであったか(震源過程解析の研究),どうしてそこがそういった 揺れになったのか(伝播経路やサイト特性に関する研究)を進めてきています.
加えて現在,文部科学省受託研究 日本海地震・津波調査プロジェクト (2013-2020)や 文部科学省受託研究 南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト (2013-2020),そして 熊本地震を踏まえた総合的な活断層調査(2016-2018)に参画し,強震動予測に 関する調査観測研究を行っています.
「強震動」「震源過程」「長周期地震動」「サイト特性(地盤震動特性)」 といった研究・キーワードに興味があり,大学院でこういった研究をしてみたい,と思われる方は,ぜひ研究室の教員にコンタクトをしてください.

研究室訪問

は随時受け付けております.メールで岩田(iwata[at]egmdpri01.dpri.kyoto-u.ac.jp) まで気軽にお問い合わせくださるか,下のリンクからお申し込みください.
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大学院で本研究室を目指す方へ

京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 の試験を受験し,合格する必要があります。 大学院入試説明会 が行われますので、それにおこしください。

今年の入試説明会の予定は, 京都では平成29年6月3日(土)に行われる予定です.
また,関東では, 日本地球惑星科学連合2017年大会(JpGU2017)(今年はJpGU-AGU共同開催) 期間中は地球惑星科学専攻を含む共同ブースが設置されます.
JpGU-AGUには研究室の教員,学生も参加しますので,当研究室での研究内容や研究室に 興味があり,内容を尋ねてみよう,と思われる方は,岩田までメールでご連絡 いただければ,アポイントを確定したいと思います.

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本研究室を目指す方へ(1)

本研究室は大学院教育としては京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地球物理学分野 の「地殻物理学・活構造論分科」の講座になります.京都大学大学院理学研究科の教育目標は, 「理学への深く幅広い理解に基づく豊かな 創造性と柔軟な思考力と優れた問題解決能力を有する人材の育成」です. 修士課程では理学研究を遂行するのに必要な基礎知識・研究手法・問題解決能力を身に つけること,博士後期課程では自ら課題を設定して研究を企画・遂行してオリジナル論 文としてまとめあげる能力を身につけること,がそれぞれの君たちの達成目標となります.
本研究室においては,この目標を達成できるように,必要な研究・教育環境をできるだけ 整え,提供する努力をします(*)。その環境において,皆さんにも, それぞれの課程において目標を達成するために最大限の努力をしてください. 達成することがなければ,学位は取得できません.
修士課程においては,学部の時にやってきたような演習問題を解くといった,いわゆる 「演習」では目標達成はできません.本当に自分で考えることができるようになる 必要があり,それを支える基礎知識・研究手法・問題解決能力を身につけなければ いけません.我々はそういった君たちの努力に対して最大限のサポートをします.
大学院は大学の延長ではない,ということを認識する必要があります. 大学では講義に出てレポートと試験に合格すれば単位が獲得できて,修了できた(できる) と思います.ただこれらのほとんどが「受け身」の時間でしょう. 大学院修士課程の「卒業に必要な取得すべき単位数」は,大学ほど必要ではありません. 博士後期課程では,単位という概念はありません. 従って,より自由な時間があります.本来、もっと勉強しないといけない大学院の方が 単位数が少なくてよい,なくてよい理由は何か,ということを考えてみてください. それは個人個人が問題意識を持ち,解決するために必要な知識を自ら蓄積していくこと, そして実際解決していくこと,を習い,学ぶことをするためなのです. 大学院は20代の貴重な時間を使っているのだ,ということを自覚し,その覚悟と真剣さを 持って研究生活を行う意志のある者が目指す「学びの場」であることを意識して下さい. 我々の研究室は高い志を持った学生さんを可能な限りサポートします.
(*)手前味噌ですが,これまでの 研究室の大学院生の国内外での研究発表,活動 をご覧ください。


本研究室を目指す方へ(2)

本研究室の研究に興味を持った方に,本研究室で研究をすすめていく上に必要なことを書きます。
・応用数学の能力:
地震動は弾性体の運動方程式と応力-ひずみ関係式によって記述されます. また震源での食い違いは,そこから射出される地震動に対しては等価体積力 によって置き換えることができます.これから,観測された地震波を分析して, 震源や地震波伝播の影響を見積もって,どうしてそういう揺れになったのか,そしてどうして 大きな被害が出たのか,といったことを知ることができます.また,理論に基づいた モデルシミュレーションも可能です. 学部で弾性波動論を修めている人は少ないと思いますので,それを理解するに十分な 微・積分、ベクトル解析,フーリエ変換,(関数論)といった応用数学・ 物理数学についての知識,及び振動論等についての知識を備える,もしくは勉強することが 望まれます.大学院試験の過去問を見ていただいてもわかるように,これらの分野からの 出題が毎年なされています.

・英語論文、教科書を読み解く能力:
研究テーマを決めたときには,その研究に関する現在までの研究成果を正確に知る必要があります. 地震学は国際的な学問ですので,日本語の論文だけでは研究成果を全部カバーできません.日本語が 母国語の研究者も,英文論文を沢山発表しています.従って,英語の論文も読み解いて中身を 正確に理解する必要があります. 文学的な解釈や文間の「作者の想い」といったものを推察する必要はありません.情緒的な 文章で和訳する必要もありません.しかし, そこに書かれていることを正確に理解し,何を言っているのかを正しく知り,それを他の人に 正確に伝えることが必要です.これまで科学論文などほとんど読んだことはないとは 思いますが,このことに習熟する,または粘り強く対応できることが必要です. また先行研究をはっきりと理解することによって,自分がやることはこういった 独自性(オリジナリティ)があるのだ,ということを確認し,自分の研究論文を 作成するのにも役立ちます.

・解析プログラムについての能力:
データ解析、シミュレーションなどはいわゆるワークステーションを使って行うことに なります.フォートラン言語やC言語についての知識,Unixを使いこなすことが必要となります. 学部ではコンピュータ実習といったことをしてきているのではないかと思いますが, もう一歩進んで,プログラムの中身を理解する力,また理解をしようとする努力が できる必要があります.

当研究室で大学院で研究する為に必要な事項のうち,特に重要な3点を記載しました. 大変,耳障りの悪いことしか書いていません.「理解する」「わかる」といったことも 程度が人によって違うでしょう.こういった研究室で研究を進めてみたい,と思われる 方は,百聞は一見にしかず,ですので,メールでコンタクトしてもらったり,そして院試 説明会(宇治地区)に参加して話を直接してもらうのがよいかと思います.先輩方の 意見も聞けると思います.



「強震動」の研究については,分担執筆をしている 「地震の揺れを科学する」( 東大出版会 2006.7出版.ちょっと古くなってしまいましたが・・)なども参考にしてもらえます.
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