2010年4月22日の雑誌会
Report of Zassikai on April 22, 2010

日 時:2010年04月22日(木)10:30 - 12:30
[DATE: April 22, 2010 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所セミナー室III E-517D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI seminar room III, E-517D]

雑誌紹介

Reporter: 岩城 麻子 [Asako IWAKI]
Title: Causse, M., E. Chaljub, F. Cotton, C. Cornou, and P.-Y. Bard (2009)
New approach for coupling k-2 and empirical Green's functions: application to the blind prediction of broad-band ground motion in the Grenoble basin
Geophys. J. Int., 179, 1627-1644.
Summary:  フランスGrenoble basinは典型的なアルプス谷であり,地下構造の2, 3次元効果によって中程度の地震でも大きな地震動に見舞われる可能性がある.本論文ではGrenoble市の南側にMW5.5のシナリオ地震を想定し,この地域の広帯域地震動評価のための,広帯域地震動計算手法のアプローチを提案している.グリーン関数は,高周波数側(>1 Hz)における経験的手法(経験的グリーン関数法)と低周波数側(<1 Hz)における決定論的手法(3次元スペクトル要素法)によるものを合わせてハイブリッドグリーン関数とする.震源モデルは,波数領域でコーナー波数以上ではすべりスペクトルがk^-2で減衰するk-2 modelに従い,すべり分布が決定論的および統計的な部分からなる広帯域の震源モデルを作成する.これをハイブリッドグリーン関数と組み合わせることにより1 - 30 Hzの広帯域地震動を合成する.この手法をMW5.5の想定地震に適用しGrenoble盆地の予測地震動を計算し,加速度応答について経験式やデザインスペクトルとの比較を行った.いくつかの盆地内の観測点では,短周期側のサイト固有の増幅特性と,長周期側の盆地構造の応答のためにデザインスペクトルEC8を超える結果となった.これはEGFと3D数値計算の組み合わせの重要性を示している.この手法による予測地震動には,震源モデルパラメータの推定の不確実性によるばらつきがある.ここではすべり分布の不均質性を決めるKの値が他のパラメータと比べて特に良く決まっていない可能性があることが示唆された.

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