Reporter: | 浅野 公之 [Kimiyuki ASANO] |
Title: |
Malagnini, L. and K. Mayeda (2008) High-stress strike-slip faults in the Apennines: An example from the 2002 San Giuliano earthquakes (southern Italy) Geophys. Res. Lett., 35, L12302, doi:10.1029/2008GL034024. |
Summary: |
Reporter: | 木村 美帆 [Miho KIMURA] |
Title: |
Yoshida, K. and T. Sasatani (2008) Seismic vertical array analysis for phase decomposition Geophys. J. Int. 174, 707-718. |
Summary: | 堆積盆地における地震動は後続相が長く続き,盆地生成・転換表面波と呼ばれている.これらの波は堆積盆地に大災害をもたらすことがあり(例えば,2003年十勝沖地震),2-D,3-Dの盆地構造が波動伝播に与える影響について観測的・数値的研究が行われている.盆地表面波の位相速度・伝播方向の推定には水平地震計アレイが用いられることが多い.鉛直成分はRayleigh波のみを含むとして扱え,その解析は簡単に行える.しかし,水平成分に関しては様々な種類の波から成るため分解する必要があるという問題がある. そこで,この論文では鉛直アレイデータとそのサイトの速度構造を用いて実体波と表面波を分解する方法を提案している. この手法は1)鉛直アレイ記録は鉛直入射するP,S波と横方向に入射するLove,Rayleigh波で構成される,2)地表での各位相はある深さでのその位相とHaskell行列法から得られる伝達関数によって関係づけられる,という仮定に基づいている.数値テストを実施してこの手法の能力を調べたところ,P波,S波,表面波の推定は良いが,水平成分のLove波とRayleigh波の分解は不安定でノイズの影響を受けやすいことがわかった.また,安定して分解が行える範囲に低周波数側の限界があった.最後に,本手法を足柄平野の鉛直地震計アレイの実記録に適用して位相分解を行った.直達S波のあとの後続相は盆地生成表面波であり,直達S波の数秒後にはLove波が現れるという結果が得られた.観測記録を見ただけではこの位相の特定は困難であり,この点は実体波と表面波を分解できる鉛直アレイ解析のメリットである. 表面波のより詳しい特性に関しては詳細な盆地の3-D速度構造に基づいたシミュレーションが必要であり,今後の課題である. |