Reporter: | 岩田 知孝 [Tomotaka IWATA] |
Title: |
Aagaard, B. T., M. Brocher, D. Dolenc, D. Dreger, R. W. Graves, S. Harmsen, S. Hartzell, S. Larsen, and M. L. Zobak (2008) Ground-motion modeling of the 1906 San Francisco earthquake, Part I: Validation using the 1989 Loma Prieta earthquake Bull. Seism. Soc. Am., 98, 989-1011. |
Summary: |
USGSで作成されたベイエリアを含む地殻・地盤速度構造モデルを用いて,1989年ロマ
プリータ地震の観測地震動の評価を行った.このようなモデル評価は,最終的には
1906年のサンフランシスコ地震の地震動評価を行うためである.震源モデルとして
は,強震記録を使った震源インバージョン結果であるWald et al.(1991)と
Beroza(1991)を用いている.4チームが参画したため,震源モデル2ケースにより合
計8ケースの長周期地震動の計算結果が得られた.加えて1チームは広帯域シミュレ
ーションを行っている.参照している地下構造モデルは同じであるが,各チームの計
算方法やabilityの違いにより最小S波速度や計算領域,地形の取り扱い等が異なる.
もともとのUSGSモデルは標高込みの速度構造モデルであるが,ある基準高さより上の
速度構造を切り取ったモデル計算や,地形のでこぼこを平らにしたモデルによる計算
が行われた.
面的な評価は,最大速度値と最大加速度値から得られる改良メルカリ震度階で, 1989年ロマプリータ地震のShakemap(震度階)との差分をとってその特徴を調べた. 周期が約1秒以上の長周期での震度階比較では,どのチームの計算も平均0.5程度の 過小評価となっているが,これは最小S波速度が現実のモデルより大きく,長周期と はいえ浅いところの遅いS波速度構造の影響があることを示していることがわかっ た.観測波形との比較では,地形のでこぼこを強制的に平らにしたモデルが一番よ い. 観測波形との比較は時刻歴での比較でしかなく,卓越周期,応答スペクトルでの比較 なども示された方が,地下構造モデルの検証になったと考えられる.参照にした地下 構造モデルが同じでも,計算方法や計算機に起因すると考えられる限定条件により異 なるモデル計算となってしまうことは今後の課題と考えられる. |