2008年1月10日の雑誌会
Report of Zassikai on January 10, 2008

日 時:2007年1月10日(木)10:30 - 12:30
[DATE: January 10, 2008 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D1219室(巨大災害研究センター会議室(本館新棟2階))
[PLACE: Room #D1219, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 縣 寿之 [Hisashi AGATA]
Title: Kawasaki (2004)
Silent earthquakes occuring in a stable-unstable transiton zone and implications for earthquake prediction, Earth Planets Space, 56, 813-821.
Summary: 本論文では、(論文掲載当時の)最近10年に南海トラフと相模トラフで9回起こったSSEのまとめを前半で、その震源域における粗さや摩擦係数の大きさの推定方法を後半で紹介している。前半では、SSEは地下約30kmにある安定−不安定遷移帯で起こり、そこは大地震のアスペリティとは離れていること、その規模(モーメント)は大地震より1桁、モーメント解放速度は5桁小さいことが述べられている。後半では、震源域における粗さや摩擦係数の大きさの推定方法として、観測波形と合成の震源時間関数を比較する方法とSSEの大きさを摩擦特性(a−bの値)と関連付けて考える方法の2つが紹介されているが、どちらも摩擦について十分な情報が得られないので決定的にはならず、これからの研究に繋げて行くべきであると結論されている。

Reporter: 澤崎 絵理子 [Eriko SAWASAKI]
Title: Nihal Akyol, Aybige, and Haluk Eyidogan (2002)
Site amplification of S-waves in Bursa City and its vicinity, Northwestern Turkey: comparison of different approaches, Soil Dynamics and Earthquake Engineering 22, 579-587.
Summary: 北西トルコのマルマラ地域にあるブルサ市では、微小地震記録がサイト増幅量の決定 に使用されてきた。サイト増幅は、表層物質の構成に影響される。サイト増幅は、標 準スペクトル法(SSR法)、水平垂直スペクトル比法(H/V法)、一般化されたインヴァー ジョン法(GIM)の三つの手法によって求められ、その結果の相違が評価された。69個 の地震、120個の波形が評価に使用されている。増幅評価の結果を比較したところ、 SSR法による評価はH/V比法の結果と比較して過小評価を与えるが、H/V比法の結果と 一般化されたインヴァージョンの結果はいくつかの観測点での高周波の結果を除いて 概ね一致する。ただし、記録された地震の数の少なさや、観測点同士の距離が密でな いことを考えると、SSR法による評価の結果の正確さに疑問は残る。また、H/V比法は 表面波で垂直成分が汚されている場合は正しい評価は得られない。これら3つの手法 は等しく卓越周波数を明らかにする。

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