2007年11月15日の雑誌会
Report of Zassikai on November 15, 2007

日 時:2007年11月15日(木)10:30 - 12:30
[DATE: November 15, 2007 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D1219室(巨大災害研究センター会議室(本館新棟2階))
[PLACE: Room #D1219, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 岩城 麻子 [Asako IWAKI]
Title: Lee, S. J., H. W. Chen, and K. F. Ma (2007)
Strong ground motion simulation of the 1999 Chi-Chi, Taiwan earthquake from a realistic three-dimensional source and crustal structure, J. Geophys. Res., 112, B06307.
Summary: 1999年台湾集集地震(MW7.6)について,3次元震源モデルと3次元地殻構造モデルを取り入れた台湾全 土における地震動シミュレーション(0.01-0.5Hz)を行った.震源モデル(Lee et al., 2006, JGR)は本研究におけるフォワード計算と同じ3次元地殻構造モデルを使った強震波形インバージョンによって求めたモデルである. 合成波形と観測波形を比較すると,Chelungpu断層上盤側の被害の集中した地域をよく再現することができた.指向性効果により破壊の進んだ北向きの方向に沿って見られた大きな地震動も再現された.また,Western Plainにおける低速度層が地震動を大きく増幅させたことも分かった.一方で,震源インバージョンとフォワードシミュレーションを同じ速度構造モデルで行っているため断層近傍の地震動が再現されても震源モデルや構造モデルが適切であるとは限らないと考えられ,他の地震動シミュレーションによる構造モデル検証等を議論する余地がある.また,堆積層の厚い地域を含む地震動の再現性を議論するためには,構造モデルに低速度層を取り入れるとともに,波形の鉛直成分だけではなく水平成分も考慮する必要があると考えられる.

Reporter: 栗山 雅之 [Masayuki KURIYAMA]
Title: Pousse, G., L. F. Bonilla, F. Cotton, and L. Margerin (2006)
Nonstationary Stochastic Simulation of Strong Ground Motion Time Histories Including Natural Variability: Application to the K-Net Japanese Database, Bull. Seism. Soc. Am., 96(6), 2103-2117.
Summary: 本論文は,観測される地震動に見られるばらつきを考慮して強震波形をモデル化する手法を提案している.地震動にばらつきを与えるために,最大加速度,強震動の継続時間,Arias Intensity,中心周波数について,K-NETの観測記録を基にして作成した回帰式が利用されている.震源距離,地震規模,地盤条件に対して,4つの指標の回帰式を求めた結果,震源距離が増加するにつれて,Arias Intensityは減少し,継続時間は増加することが示された.合成された加速度波形は,震源距離が増加するにつれて,振幅が減少し継続時間が長くなる特徴をもつ.また,軟弱地盤では長周期成分が多く含まれる様子が再現されている.最後に,合成波形と観測波形が比較されており,地震動のばらつき,地震動の振幅,信号の継続時間,含まれる周波数成分の特徴がよく再現されているとしている.地震動のばらつきを与えるために用いた回帰式や対数正規分布で規定されたエンベロープ形状については議論の余地がある.

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