2007年1月11日の雑誌会
Report of Zassikai on January 11, 2007

日 時:2007年1月11日(木)10:30 - 12:30
[DATE: January 11, 2007 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D570室(本館5階)
[PLACE: Room #D570, DPRI]

修士論文中間発表

Reporter: 山口 慎司 [Shinji YAMAGUCHI]
Title: 大規模破壊に先行する小規模破壊の特徴
Summary: 2005年福岡県西方沖地震(Mw6.6)と2000年鳥取県西部地震(Mw6.6)では 他の大規模地震で報告されているのと同様な小振幅のP波が 大振幅のP波に数秒先行して観測された。
まず、2005年福岡県西方沖地震について、この小振幅のP波が 大規模破壊に約3.4秒先行する、Mw=4.7相当の小規模破壊に対応する波であること を明らかにした。そして、M3クラスの地震波形を経験的グリーン関数として用いた 震源時間関数推定の結果から、この破壊が同程度の規模の余震と比べて、ゆっくりと 進展したことを明らかにし、大規模地震に先行する小規模破壊が、 特別な破壊過程を持つ可能性を示した。
この特徴が、普遍的なものであるかどうかを調べるために、同様の解析を  2000年鳥取県西部地震についても行った。

雑誌紹介

Reporter: 栗山 雅之 [Masayuki KURIYAMA]
Title: Zafeiria Roumelioti, Anastasia Kiratzi, and Nikolaos Theodulidis, (2004),
Stochastic Strong Ground-Motion Simulation of the 7 September 1999 Athens (Greece) Earthquake, Bull. Seism. Soc. Am. 94, No.3, 1036-1052.
Summary: 本研究では,1999年のアテネ地震(M5.9)の震源特性が観測された強震動の分布に対し てどのように影響を与えているのか,特定の地域が受けた被害の程度を説明できるの か,について調べられている.そのために,統計的な手法を用いて強震動波形が合成 されている.
19の観測点について合成波形と観測記録の比較を行うことで設定したモデルを評価 した後,断層面を取り囲む領域について強震動シミュレーションを行った.合成波形 の最大加速度と加速度応答スペクトルの最大値の分布から,directivity効果が断層 の東方に向かって働いたとしている.このdirectivity効果は2s以上の長周期と 0.2-0.3秒の周期帯で卓越していることが示されている.別の土質学の研究結果 (Gazetas et al., 2001)と結びつけて考えると,1999年のアテネ地震の被害分布のパ ターンは,震源のdirectivity効果とsite特性の結びつきによって説明できるとして いる.

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