2006年11月16日の雑誌会
Report of Zassikai on November 16, 2006

日 時:2006年11月16日(木)10:30 - 12:30
[DATE: November 16, 2006 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D570室(本館5階)
[PLACE: Room #D570, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 白川 智香子 [Chikako SHIRAKAWA]
Title: Cornou, C., P.-Y. Bard, and Michel Dietrich (2003),
Contribution of Dense Array Analysis to the Identification and Quantification of Basin-Edge-Induced Waves, PartT:Methodology
Bull. Seism. Soc. Am.,93, 2604-2623.
Summary: 本研究では、Grenoble(French)において、口径1kmに3成分の地震計を29台設置し、ア レイ観測を行っている。Grenoble盆地のサイト特性を同定・定量化を行うための方法 論として、
・multiple signal classification(MUSIC)アルゴリズムの開発
・3成分の共分散行列の特性を使った、wave-typeと波のエネルギーの見積もり
・モデルシミュレーション
を説明している。
MUSICアルゴリズムでは、アレイ記録で得られる共分散行列から固有値を求め、それ を信号固有値とノイズ固有値に分け、ノイズ固有値と対応するノイズベクトルと直交 するベクトルを求めたい信号ベクトルとして、アレイに同時に到来する複数の波の方 向を推定している。このアルゴリズムはまた、同定した波の伝播方向を与えてくれる ので、水平成分をradialとtranseverse成分に分けることができる。
本研究ではマル チパスによって同じwindowに多くの波が現れるため、震動軌跡を書いてwave-typeを 判別することはできないが、共分散行列から、windowで卓越するpolarizationの平均 された特徴をつかむことができた。
モデルシミュレーションでは、多重波、非定常波、correlated waves(同時にアレイ を通過する、異なる方位角をもつが、同じ周波数で位相が重なる波)を、MUSICアルゴ リズムを使って同定を試みた。その結果、backazimuthよりも速度の見積もりが不安 定で、SN比の低さによるばらつきも見られた。このため、信頼性を高めるためには、 統計に基づく解析が必要と考えられる。

Reporter: 豊田 暁来 [Akiko TOYODA]
Title: Gamal S. El-Fiky (2000),
Elastic and inelastic strains in the Japanese Islands deduced from GPS dense array
Earth Planets Space, 52, 1107-1112.
Summary: 1996から1998年のGPS観測網結果を使用し、弾性ひずみと非弾性ひずみを推定した。
まず、LSP法を使用し、全体的なひずみを求め、次にHori et al.(1999)を使用し、非弾性ひずみを求めた。 非弾性ひずみは全体のひずみの1%未満である結果を得たため、せん断応力はひずみから弾性論でほぼ表現でき、 得られたひずみは地殻の変動を表現している。面積ひずみは、日本が縮み場の中にあり、最大せん断ひずみは地殻活動と一致する結果を示しており、また、ひずみの主軸は日本が海洋プレート沈み込みの影響を受けていることを示している。

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