2005年11月24日の雑誌会
Report of Zassikai on December 22, 2005

日 時:2005年11月24日(木)10:30 - 12:30
[DATE: Novemberr 24, 2005 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D570室(本館5階)
[PLACE: Room #D570, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 白川 智香子[Chikako SHIRAKAWA]
Title: Iida,M.,H.Yamanaka,and N.Yamada(2005),
Wave Field Estimated by Borehole Recordings in the Reclaimed Zone of Tokyo Bay,
Bull. Seism. Soc. Am., 95(3), 1101-1119.
Summary: 本研究では、2つのボアホール観測点で記録された強震動加速度記録を使って、東京 湾の埋立地における0.1〜2.0秒の周期の波に注目し波動場を推定している。
観測記録のwave-typeを同定するために、実体波と表面波の理論増幅と、地表と地 下地震計の記録間の相互相関関数を求めている。既知の速度構造を用いて、地表観測 点記録とボアホール最下部の観測点記録の波の到達時間差(lag time)を求め、観測さ れた波がS波であれば相互相関関数のピークは、到達時間差で現れ、表面波は到達時 間差が0.0秒でピークが現れることを使っている。
次に、水平成分をS波と表面波に分離しているが、そこで用いられている仮定は到 達時間差の4倍の周期を持つ波は表面波というものである。なぜ到達時間差の4倍で仮 定されるのかが理解できなかったが、この方法で議論を進めると、主要地震動はS波 とLove波で構成されており、それは1.0秒以上の周期帯でS波よりも卓越していること がわかった。また、表層部の堆積物の理論卓越周期において、Love波はS波よりも大 きく増幅しており、その増幅は、盆地の深さとその上にある堆積物によって励起され ていることもわかった。
最後に、盆地構造を考慮した2次元波動伝播シミュレーションを行った結果、地表 近くの強い不均質性を示し、観測された地震動を定性的に説明している。

Reporter: 岩田 知孝[Tomotaka IWATA]
Title: Baoping Shi and J. N. Brune(2005),
Characteristics of Near-Fault Ground Motions by Dynamic Thrust Faulting:
Two-Dimensional Lattice Particle Approaches,
Bull. Seism. Soc. Am., 95(6),2525-2533
Summary: 1952Kern County地震(M7.7)の時に活動したと考えられるWhite Wolf faultの震源 域ではPrecarious rock (不安定な岩)が分布しており,その分布からは下盤側と上盤 側で断層を境に非対称な地震動分布であったと考えられる.この逆断層地震の地表地 震断層付近の震動分布を説明することは地震ハザードを考える上に重要で,ここで は,lattice particle model (Discrete ElementMethodのひとつ)によって逆断層の 動的破壊過程をモデル化し,上盤側と下盤側の地震動の違いと,地表に堆積層が乗っ ている場合,地表を切る断層切らない断層の場合についての比較を行い,震動の強さ や震動特性の違いについて調べることを行っている.
 地表が切れる切れないによって断層近傍(ここのモデルでは1−2km以内)の地 震動は非常に違うことと,また上盤側と下盤側での顕著な違いを定性的には説明でき ている.
 地表が切れる場合に大速度で時定数の長い地震動が1999年台湾集集地震では観測さ れているが,本研究にも,卓越周期の違いがあるかどうかの観点での説明があるとよ いように感じる.地表地震動図からはその傾向もあるように見えるが,明らかではな い.

Return