2007年4月15日作成
2007年能登半島地震の地震動の強さの距離減衰を調べるために,最大水平速度と既往の距離減衰式との比較を行いました.
横軸は断層最短距離(km)で,縦軸は最大水平速度(cm/s)です.各観測点から断層までの最短距離は,近地地震動記録による能登半島地震の震源インバージョン (青井・関口, 2007)の震源断層モデルを使用して求めました.最大水平速度は,K-NETの加速度波形記録を積分して求めた速度波形(0.2-10Hz)の水平2成分の最大速度振幅のうち大きいほうとしています.この値を地盤増幅率で割り,平均S波速度600m/s相当の地盤での値としてプロットしています.地盤増幅率は,K-NETのPS検層結果を地下30mまで外挿して地表30mの平均S波速度を求め,その値にMidorikawa et al. (1994)の式を適用して算出しています.Mw6.6,震源の深さを11kmとして,経験的な地震動の距離減衰を司・翠川 (1999)の距離減衰式から求めています.K-NET穴水で得られた最大水平速度が,距離減衰式のばらつき+1σの上側に顕著に外れていることがわかります.K-NET穴水では,今回の解析で考慮した以上に,地盤による地震動の増幅が実際にはあったと考えられます.
断層最短距離を求める際に,青井真博士と関口春子博士による震源断層モデルを使用させていただきました.また,独立行政法人防災科学技術研究所のK-NET記録を使わせていただきました.関係諸氏に感謝致します.
(栗山雅之・岩田知孝)