2004年9月9日22時20分作成
2004年9月10日22時00分改訂
以下の図は19時7分のMj6.9の地震及び23時57分のMj7.4の地震による観測地震動の周期1秒,2秒,5秒,7秒,10秒における擬似速度応答スペクトル(減衰5%)の 空間分布を示しています. 強震記録はK-NET,KiK-net及び関西地震観測研究協議会(関震協,CEORKA)のものを使用しました. 図中の赤い★印は気象庁によって決定された震央の位置です. 黒い▲印は解析に用いた強震観測点の位置を表しています.
まず,2つの地震を比較すると,大まかな空間分布の傾向はよく似ていることが分かります. 短周期側では,愛知県の美浜町や渥美町で局所的に大きな応答速度が得られました. 周期2秒では,伊勢湾−琵琶湖−若狭湾をつなぐ領域が大きめの値になっている点が興味深いです. より長周期側では,大阪平野や濃尾平野といった大規模な堆積構造に対応した地域で,大きな値が得られています. 三重県の熊野灘沿岸で大きめの値になっているのは震源に近いためと考えられます. 長周期地震動の増幅特性をより定量的に把握するためには,距離減衰の効果と地盤構造による増幅効果を分離する必要があると考えられます.
日本全国の空間分布や距離減衰はこちらです (23時57分の地震のみです)
謝辞: 独立行政法人防災科学技術研究所のK-NET及びKiK-netならびに関西地震観測研究協議会の 強震記録を使用しました.関係者の皆様に感謝いたします.
(京都大学防災研究所 地震災害研究部門 強震動地震学分野 浅野 公之・山田 伸之・岩田 知孝)