Iwata's Home
ようこそ
岩田知孝(2023.05.20記)(2024.01.26能登半島地震について追記)
●この研究室では、地震の時の強い揺れ(強震動)の研究を行っています.
研究成果、構成メンバーについては
研究室のHP
を参照してください。
●当研究室では,地震被害を引き起こすような強い揺れ=強震動=がどのように
生じるのか,についての研究を行っています.地球の中の歪みを解放するために
地下の岩盤がずれることにより地震波が発生し,その地震波が地中を伝播し
地表にとどくことによって地震動(強震動)となります.
従って,地中の岩盤のずれがどのようであったか,またどういったところを
伝播してきたかによって,強震動の特徴は決まります.
「強震動地震学」については,私が日本地震学会の「新・強震動地震学基礎講座」第1回
に寄稿した文章が以下にありますので,興味があればご覧下さい.
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http://www.zisin.jp/kyosindo/shin_kisokoza/shin_kisokoza.html
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日本地震学会「新・強震動地震学基礎講座」
当研究室では,地震災害に強い,安心・安全な社会を構築することを目的として,
その基礎となる強震動予測(将来起きる地震で「ここ」はどのくらい
揺れるのか?)研究をアウトプットのひとつと考え,強震動予測の信頼度や精度
を高めるために,起きた地震の揺れの分析を行って,こういった揺れを作った岩盤の
ズレはどのようであったか(震源過程解析の研究),どうしてそこがそういった
揺れになったのか(伝播経路やサイト特性に関する研究)を進めてきています.
「強震動」「震源過程」「長周期地震動」「サイト特性(地盤震動特性)」
といった研究・キーワードに興味があり,
大学院でこういった研究をしてみたい,と思われる方は,
ぜひ研究室の教員にコンタクトをしてください.
●最近起きた被害地震の例をとって,もうすこし具体的な研究室の
研究内容について述べてみます.
日本は,地下では4枚のプレートが押し合っている
プレート境界に位置しており,世界でおきる約10%の地震が,陸地面積ではたった0.25%の
日本の陸域とその近くの海底下で起きています.地震の数が多いということは,
規模の大きい地震も頻発するため,日本という国はいつも地震で
「揺すられる」場所にある,と言えるかもしれません.
プレート境界付近では,プレート境界で起きる地震(プレート境界地震)や,プレート境界
の近くの大陸プレート内で起きる地殻内地震(活断層などに関係する地震),沈み込む
プレート内でおきる地震(スラブ内地震)といったタイプの地震が発生します.これらの
地震がひっきりなしに起きていたのだと考えられますが,特に最近では
1995年兵庫県南部地震(震災の名前としては,阪神・淡路大震災)以降,活断層に関係する
地震が発生し,また,2011年3月11日にはMw9.0の東北地方太平洋沖地震
が発生して,巨大津波による大被害を主とした東日本大震災が引き起こしました.
以下,最近のいくつかの被害地震などについて紹介します.
☆2016年には,4月14日M6.5の地震にはじまり,16日1時25分のM7.3の本震が
発生する2016年熊本地震が起きました.
前述の2回の地震で,熊本県益城町では震度7の揺れになりました.
本震では西原村でも震度7を記録しました.その後,震源域のみならず,震源域の南西側や
北東側の阿蘇から別府・大分に至る地域で活発な地震活動が続きました.
当研究室では,熊本地震に関して浅野准教授が強震記録を使った震源過程
(M6.5及びM7.3)の研究を行い,EPS誌に掲載されています.
興味のある方はご覧になってください.
2016年熊本県の地震の情報
このページには震度7の加速度記録からちょっと工夫をして速度,変位記録を求めて
みました.変位記録を求めたことにより,今回の本震の震度7の記録には,断層すべりの近くで
見られる地震波の近地項(near-field term)成分が主として現れていることが
わかりました.(#観測点は震源断層面上にあったわけではないので,断層ズレそのものが記録されている
のではないことに注意する必要があります.断層すべりと記録の関係について詳しく知りたい
方はご連絡ください)
☆関西に住んでいる私達が考えなければならない地震としては,南海トラフでおきる
「東南海・南海地震」と,活断層に関係する内陸地殻内地震があげられます.
約100年~150年間隔で発生している南海地震の間には,内陸の活断層に関係する地震が発生し,
その発生の度合いは,南海地震後より次の南海地震が起きる前に集中すると言う研究があります
(Hori and Oike, 1996).そして現に近畿地方は活断層が密集しているのは事実としてあります.
1946年昭和南海地震から70年以上経ち,次の南海地震への備えが指摘される中,
その巨大地震である南海地震や,都市の直下で起きる可能性の高い内陸地殻内地震
の時の揺れ(強震動)の予測を高度化して,地震への備えを進める必要があります.
熊本の地震の揺れの解析によってわかったことは,将来発生する,活断層に関する地震の
強震動をよりよく知るためには重要な手がかりとなります.
2018年6月18日に大阪府北部を震源とするM6.1の地震が発生し,震源域では最大震度6弱
を記録しました.地震被害は局所的,限定的でしたが,ブロック塀の倒壊により小学生児童
が死亡するなど痛ましい被害も起きてしまいました.
私達はこのような地震被害を引き起こした強震動の成因を解明し,将来の地震での被害を
すこしでも減らすことのできる研究を進めています.
☆その後も国内外で被害地震は多発しています.国内では,2020年末から継続する
能登半島の地震活動があり,2022年6月や2023年5月5日に被害を伴うような
地震が起きました.
5月5日の地震の震源過程を浅野准教授が強震記録を用いて求め,地震調査委員会の
資料として出ています.
地震調査委員会毎月の地震活動
2023年2月にはトルコ東南部でM7.8,M7.6の大地震が起き,甚大な被害が
生じました.被害の成因を調べるため,これらの強震記録の分析も進めているところです.
加えて現在,文部科学省受託研究 森本・富樫断層帯における重点的な調査観測 (2022-2024)
を他研究機関とともに実施しています.
■2024年1月1日に能登半島北部でM7.6の大地震が起き,能登半島北部を中心に
大きな揺れに見舞われて,大被害が起きました.2020年末から能登半島北東部を
中心に起きていた地震活動域から破壊が始まり,既存の活断層
に関係した断層が震源断層として南西及び北東に破壊が進んだと考えられます.
これらの強震記録の特性や,震源過程については,研究室のHPにリンクがありますので,
興味がある方はご覧下さい.我々は2022年6月,2023年5月の珠洲市で震度6弱
6強の揺れを起こした地震に関連して,当該地域の地盤震動調査を進めていて,
周期1秒くらいの揺れが強かったことや,その揺れは,浅部地盤(深さ10〜20mくらい)の
特徴によって増幅されていたことを推定していました.
今回,断層が大きかったことや複雑な破壊過程により,この地域で長い時間
強い揺れに見舞われたことから,大被害につながっていると揺れの記録からは
考えられます.この成因については,更に調査研究を進めていく必要があります.
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに,被害に遭われ,寒さの中,
困難な暮らしを強いられている方々へお見舞い申し上げます.
こういった強い揺れの成因についての研究に興味がある方は是非,お問い合わせください.
研究室訪問
は随時受け付けております.メールで岩田(iwata[at]egmdpri01.dpri.kyoto-u.ac.jp)
まで気軽にお問い合わせくださるか,下のリンクからお申し込みください.
研究室訪問申し込みページ
大学院で本研究室を目指す方へ
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
の試験を受験し,合格する必要があります。
「強震動」の研究については,分担執筆をしている
「地震の揺れを科学する」(
東大出版会
2006.7出版.ちょっと古くなってしまいましたが・・)なども参考にしてもらえます.
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