強震アレイを用いた地震動特性の分析

京都大学防災研究所 地震災害研究部門 強震動地震学分野 岩田知孝
2003年9月29日22時00分更新


稠密なK-NET, KiK-netの観測網記録を用いて地震動の生成伝播を追いかけることができる.

(1)苫小牧への測線

図1に示すK-NET観測点の記録を震央距離順に並べた. 記録は1回積分して速度記録として,1秒までのLPFを通している(図2). 長周期の地震動が伝播していって居る様子がよくわかる.ちなみにこの縦軸は全地点で共通である. 苫小牧(HKD129)では,主要動の後半部に大きな後続波がみられる. これらの観測点のうち,112, 110, 106, 105, 129の東西成分の応答スペクトルを図3に示す. 苫小牧観測点において5〜10秒の地震動が急激に増幅していることがよくわかる. これは,長周期地震動の入力とともに,この観測点近傍の地下構造により励起されたものと考えられる.

図1:震源から苫小牧方面に向かうK-NET観測点

震源から苫小牧方面に向かうK-NET観測点

図2(a):東西動速度記録(1秒でLPF).震央距離で並べている.

東西動速度記録

図2(b):南北動速度記録(1秒でLPF).震央距離で並べている.

南北動速度記録

図3:図2の東西成分の加速度応答スペクトル及び速度応答スペクトル

震源から苫小牧方面に向かうK-NET観測点

(岩田知孝)

独立行政法人防災科学技術研究所による強震観測網(K-NET)及び基盤強震観測網(KiK-net)の強震記録を使用させていただきました. 関係者の皆様に感謝いたします.