2015年7月9日の雑誌会
Report of Zassikai on July 9, 2015

日 時:2015年7月9日(木)10:30 -
[DATE: July 9, 2015 (Thu.) 10:30 - ]

場 所:防災研究所セミナー室 E-517D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI conference room, E-517D]

雑誌紹介

Reporter: 田中宏樹
Title: Marylin Denieul, Olivier Sebe, Michel Cara, and Yves Cansi (2014)
Mw Estimation from Crustal Coda Waves Recorded on Analog Seismograms
Bulletin of the Seismological Society of America, Vol. 105, No. 2A, pp. 831?849, April 2015, doi: 10.1785/0120140226
Summary: Mwは、特に地震活動が静穏な地域などの地震危険度を評価することを目的とする地震カタログを作る上で非常に重要な要素となる。こうしたMwを過去のアナログ記録から推定することは容易ではない。こうした時、アナログ記録のコーダ波に着目することには利点がある。それは、コーダ波がonscaleで、異なる観測点間でも大きくばらつかないためである。しかし、コーダ波から地震モーメントやMwを決定する可能性のある有効な手法は、対象地域のフランスには存在していない。この論文では、フランス・原子力代替エネルギー庁のthe Laboratorie de Detection et de Geophysique(LDG)が速度センサーで観測している、最近のデジタルデータに対してコーダを用いたMw推定手法のテストをした後、LDGの過去のアナログデータについてMwを決定することを目標としている。
この論文では、アナログ時代からある12観測点での、1997〜2013年のLDGデジタル地震記録をテストに使用した。イベント数は、109イベントで、全てのイベントがローカルマグニチュード4以上である。さらに、対象地域をフランス北西部・北東部・南西部・南東部の4領域に分け、それぞれでコーダ波マグニチュードMcodaとMwの換算を行った。北西部に関しては、広帯域計から十分にMwが決定できないため、対象地域から除外している。
ここで、コーダ波解析で重要なコーダウィンドウの扱いを考える必要がある。ウィンドウの開始をSmS波の到達時刻t_SmSに対して1.5t_SmSと設定し、終了をSN比2と設定した。コーダの経過時間が長くなると、コーダの減衰率が変化するが、これは、コーダの経過時間が長いところでは、波が震源付近とは異なる領域を通過するためだと考察している。
アナログ記録からMwを決定する解析の手順は、以下のとおりである。
1、 まずアナログデジタル変換因子を振幅A0に掛けて、アナログ単位をデジタル単位に変換。
2、 コーダ波から求めたマグニチュードをMcoda=log10(A0(τ)/2)で計算。
3、 各領域でのMwとMcodaの変換式からMwを計算。
この手法によって1962〜2009のLDG記録(ローカルマグニチュード4以上)のMwが決定された。しかし、ほかの加速度センサーや変位センサーによる記録の場合、また、今回解析したローカルマグニチュードより大きい場合や小さい場合は、今回の手法をそのまま使うことはできず、様々なステップを踏んで新たに手法を得る必要がある。

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