2014年5月8日の雑誌会
Report of Zassikai on May 8, 2014

日 時:2014年5月8日(木)10:30 -
[DATE: May 8, 2014 (Thu.) 10:30 - ]

場 所:防災研究所大会議室 S-519D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI conference room, S-519D]

雑誌紹介

Reporter: 田中美穂
Title: Adrien Oth and Anna E. Kaiser(2013) Stress Release and Source Scaling of the 2011-2011 Canterbury, New Zealand Earthquake Sequence from Spectral Inversion of Ground Motion Data Pure and Applied Geophysics, doi:10.1007/s00024-013-0751-1.
Summary: 2011年9月4日Darfield地震(Mw 7.2)を皮切りに,比較的地震活動の少なかったCanterbury地域で一連の地震活動が発生した(例えば2011年2月22日Christchurch地震(Mw 6.2)).この一連の地震では非常に激しい地震動が観測され,Christchurch地震の際には上下動で2.2 gに達した.このような地震活動が少ない地域での地震の特徴を学ぶ機会は珍しく,Canterburyでの将来の地震動の予測や危険度評価にとって重要である.
本論文ではニュージーランドの都市部で特に密に展開されるGeoNetによる観測網の64観測点で得られた全205地震の記録を用いて,応力降下量と地震サイズのスケーリングという観点から一連の地震の特徴を求めている.まずスペクトルインバージョン法によって震源スペクトルを求めている.用いたデータは水平成分のS波オンセット0.5秒前から5〜10秒間である.震源スペクトルを得るため,適切なリファレンスコンディションを選択する.その際,地質学的環境とH/V比を考慮し,H/V比が平坦な2つの岩盤サイトの平均をリファレンスコンディションとしている.その後,得られた地震モーメントとコーナー周波数を用いてBrune(1970, 1971)によるモデルを基に応力降下量を計算している.Canterbury地域での一連の地震の応力降下量は1〜20MPaとなり,日本の地殻内地震に対して求められた応力降下量(〜1MPa)(Oth et al., 2010)より大きい.このことに関して,日本は地震発生率が高いのに対して,Canterbury地域では一連の地震まではほとんど地震が発生していなかったことを挙げ,歪み速度の違いを理由としている.また,応力降下量の変化の幅は,より広範囲のデータから求められる値よりも小さかった.ここで求められた応力降下量の特徴はこの地域の強震動予測や地震危険度評価に用いることができる.

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