2013年11月14日の雑誌会
Report of Zassikai on Nnovember 14, 2013

日 時:2013年11月14日(木)10:30 -
[DATE: November 14, 2013 (Thu.) 10:30 - ]

場 所:防災研究所セミナー室III E-517D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI seminar room III, E-517D]

雑誌紹介

Reporter: 田中美穂
Title: Fred F. Pollitz, Ross S. Stein, Volkan Sevilgen and Roland Bu¨rgmann (2012) The 11 April 2012 east Indian Ocean earthquake triggered large aftershocks worldwide Nature 490, 250?253 (11 October 2012) doi:10.1038/nature11504
Summary: 大きな地震の際,地震波が伝播する間や地震後数時間から数日の間に非常に小さな地震が地球規模で誘発されるということが研究されてきた.2012年4月11日東インド洋の地震(Mw8.6)は最も大きな横ずれ震源による地震であるが,本震後6日間に震央距離1500kmより遠方でのM 5.5の地震発生率がおよそ5倍となった.また,誘発された地震のマグニチュードはM 7にまで及んだ.このような大きな地震が遠方で誘発されることは稀であり,地球規模の地震ハザードへの影響が懸念される.
本論文では,2012年東インド洋の地震後の先例のない誘発の原因を提案するため,(1)横ずれ震源による動的ひずみ,(2)本震前の地球規模での地震発生率,という観点から解析を行っている.(1)については,誘発された地震の中で横ずれ震源のものの割合が高めであることを踏まえ,本震の横ずれ震源により励起されるラブ波が,低角逆断層の震源の場合よりも遠方の横ずれ断層にストレスを与えると述べている.また,動的ひずみがある閾値を超える総時間と動的ひずみのピーク値を定義し,それらの地球規模での分布から,動的ひずみの大きさだけでなく作用する時間も地震の誘発に関係すると述べている.次に(2)に関して,本震前7.3年間の地球規模の地震発生率を計算し,期間の中でも非常に地震活動の少ない時期であったことを示した.およそ一定の割合で地震核形成の場所が成長して破壊しやすい状態になるとすると,地震活動の少ない期間に大きな地震が発生し,成長した破壊核に応力が加わり,破壊する(地震が誘発される)と述べている.
地震が遅れて誘発される要因として,横ずれ震源により励起されるラブ波伝播による動的ひずみ,地球規模で地震発生率が低い時に地震が発生したことにより破壊寸前の破壊核の場所の数が増加した可能性を挙げている.

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