2012年11月8日の雑誌会
Report of Zassikai on November 8, 2012

日 時:2012年11月8日(木)10:30 -
[DATE: November 8, 2012 (Thu.) 10:30 - ]

場 所:防災研究所セミナー室III E-517D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI seminar room III, E-517D]

雑誌紹介

Reporter: 久保久彦
Title: Shuichi Kodaira, Tetsuo No, Yasuyuki Nakamura, Toshiya Fujiwara, Yuka Kaiho, Seiichi Miura, Narumi Takahashi, Yoshiyuki Kaneda and Asahiko Taira (2012)
Coseismic fault rupture at the trench axis during the 2011 Tohoku-oki earthquake,
Nature Geoscience, 5, 646–650, doi:10.1038/ngeo1547.
Summary: 2011年東北地震において地震時すべりが海溝まで達したのかどうかを検討するために,海溝軸付近の側線において2011年3月14日から31日にかけて反射法地震探査を行い,それで得られたseismic imageを地震前の1999年に同一側線で反射法地震探査を行った際のseismic imageと比較した.地震前には海溝軸で堆積物の三角型wedgeが見られたが,地震後には堆積層中で長さ3kmで厚さ350mの隆起構造が見られた.著者らは,この顕著な構造体は海溝軸まで達するすべりにより,海溝にたまっている堆積層中の(主たる断層であるプレート境界から枝分かれしている)逆断層が圧縮されてできたものであり,Fujiwara et al. (2011)において海溝付近で見られた50mの沈降はこの構造が引き起こした重力上安定による海底面の陥没である,と解釈している.このことから,2011年東北地震では海溝軸まで達するすべりがあったと著者らは述べている.また,海溝にたまっている堆積層中の構造は,2011年東北地震のような巨大地震による地震時すべりによる変形が累積的に蓄積していってできたものであるとも述べている.

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