2012年6月28日の雑誌会
Report of Zassikai on June 28, 2012

日 時:2012年06月28日(木)10:30 -
[DATE: June 14, 2012 (Thu.) 10:30 - ]

場 所:防災研究所セミナー室III E-517D室 (本館E棟5階)
[PLACE: DPRI seminar room III, E-517D]

雑誌紹介

Reporter: 佐藤佳世子
Title: Takashi Furumura and Toshihiko Hayakawa (2007) Anomalous Propagation of Long-Period Ground Motions Recorded in Tokyo during the 23 October 2004 Mw 6.6 Niigata-ken Chuetsu, Japan, Earthquake, Bull. Seismol. Soc. Am., 97, 863-880, doi:10.1785/0120060166.
Summary: 2004年10月23日新潟県中越地震(Mw6.6)時に関東盆地において、継続時間の長い、大きな長周期地震動が観測された。高層ビルの共振や石油タンク火災などのリスクから、長周期地震動の発達と増幅特性を知ることは緊急の課題である。
本論文ではK-NET,KiK-net,SK-netの記録を用いて、前述の長周期地震動の大部分が関東盆地の北東端で発生した表面波であるRayleigh波によって特徴づけられていること、また、固い基盤上の厚い堆積層(>3000-4000m)を表面波が伝わるにつれて発達したことを示している。記録のパーティクルモーションを空間プロットした地震波伝播の図からは、北から伝播した波が通り過ぎたのち、西から回り込んでくる波が見られた。
次に、観測記録のない東京湾での波の伝播を補完するため、「地球シミュレータ」により、詳細な震源すべりモデルと中部日本の高解像度3次元盆地構造モデルを用いて大スケールの地震波伝播の様子をコンピュータシミュレーションにより生成した。この結果として、東京都心で記録された変則的に継続時間の長い長周期地震動は、さまざまな経路で伝播した地震波エネルギの停滞と、周囲の山間部から関東盆地の底に向かって、3次元の盆地構造によって干渉したRayleigh波が集中したことが原因であることを示した。このようなシミュレーションモデルは東京付近で起きるかもしれない将来の地震シナリオで予想される地震動の理解に応用できると筆者らは考えている。
Discussionでは中越地震時のすべり断層モデルのサイズを拡張および縮小したものを震源モデルとして使ったコンピュータシミュレーションを行い、マグニチュードの規模の違う地震に対しての長周期表面波の卓越周期の変化を示した。しかし、実際の地震での関係についてはこの震源モデルが実際の地震に即したものかという検証や今後の観測で得られる記録を基にした議論が必要となると考えられる。

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