2006年6月8日の雑誌会
Report of Zassikai on June 8, 2006

日 時:2006年6月8日(木)10:30 - 12:30
[DATE: June 8, 2006 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D570室(本館5階)
[PLACE: Room #D570, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 栗山 雅之 [Masayuki KURIYAMA]
Title: Mai, P. M., P. Spudich, and J. Boatwright (2005)
Hypocenter Locations in Finite-Source Rupture Models
Bull. Seism. Soc. Am, vol.95, No.3, 965-980
Summary: 本研究では,(1)断層面上の震源の位置について考察すること,(2)震源とすべり量 の大きい領域の位置関係を調べることを目的とし,MW4.1-8.1の地震の震源モデルを 用いて統計的な解析を行っている.解析には,Mai(2004)によってデータベース化さ れた震源モデル(SRCMOD. www.seismo.ethz.ch/srcmod)が利用されている.
解析の結果,震源の位置に関して,strike-slip型やdip-slip型の地殻内地震の破 壊は断層深部から生じる傾向があり,沈み込み帯で発生する地震にはこのような傾向 が認められないことが分かった.また,震源は断層面上にランダムに位置するわけで はなく,すべり量の大きい領域(すべり量が最大すべり量の1/3〜2/3である領域と定 義)に近接して位置することが示された.こうした場合には,震源の位置から断層長L の1/2の距離内に,さらにすべりの大きい領域(すべり量が最大すべり量の2/3以上で ある領域と定義)が存在する傾向にあるとしている.

Reporter: 浅野 公之 [Kimiyuki ASANO]
Title: Zheqiang Shi and Yehuda Ben-Zion (2006)
Dynamic rupture on a bimaterial interface governed by slip-weakening friction
Geophys. J. Int., 165, 469-484
Summary: サンアンドレアス断層では断層面を挟んだ弾性波速度のコントラストが5-30%程 度存在する.この論文は,そのような弾性波速度・密度の異なる弾性体の境界面 におけるmode-II(面内せん断破壊)の動的破壊伝播を数値シミュレーションによ り調べた.理論的には,2つの弾性体の接触面でのmodo-II破壊では,すべり関数 や物性値,破壊伝播方向に依存しながら,断層面上での法線応力が動的に変化す る.亜音速の破壊がすべりと同じ方向(正の方向と定義)に伝播するとき,法線 応力は動的に減少し,逆方向(負の方向)に伝播するときは法線応力が動的に増 大する.この論文では,すべり弱化摩擦則にしたがう破壊を考え,静摩擦係数と 動摩擦係数の差,初期応力,物性値のコントラストの大きさの違いによるパラ メータスタディを行い,物性の異なる弾性体の境界では,Rayleigh波速度に近い 速度で正の方向にユニラテラルにパルス上の破壊が伝播することを示した.最初 にsupershearの破壊速度を持つ震源を与えた場合でも,正の方向にはRayleigh波 速度で破壊が伝播し続け,負の方向へはP波速度で破壊が伝播するがやがて止まる.

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