2005年06月09日の雑誌会
Report of Zassikai on June 9, 2005

日 時:2005年06月09日(木)10:30 - 12:30
[DATE: June 9, 2005 (Thu.) 10:30 - 12:30]

場 所:防災研究所D570室(本館5階)
[PLACE: Room #D570, DPRI]

雑誌紹介

Reporter: 鈴木 亘 [Wataru SUZUKI]
Title: Sabra, K. G., P. Gerstoft, P. Roux, W. A. Kuperman, and M. C. Fehler (2005)
Extracting time-domain Green's function estimates from ambient seismic noise
Geophys. Res. Lett., 32, L03310, doi:10.1029/2004GL021862
Summary: Snieder (2004)やRoux et al. (2005)の研究より, 2観測点r1のi成分とr2のj成分についての常時微動の相互相関関数Cij(Noise Cross-correlation Function; NCF)の時間微分が以下のように二点間のグリーン関数を表すことが期待される.
dCij/dt = - Gij (r1; r2, t) + Gji (r2; r1, -t)
本論文では南カリフォルニアの地震観測ネットワークの150点の常時微動の記録を用いてdNCF/dtがグリーン関数を表すことを示した. スタックした鉛直成分についてのdNCF/dtを観測点間距離ごとに並べると, 海から明瞭な波群が伝播していく様子が見て取れ, これは群速度や粒子軌跡から海岸から生成されたレイリー波であることが分かった. このレイリー波は多くの記録について顕著に見られるが, 観測点間距離の短いペアについてdNCF/dtはローカルな地下構造の不均質の影響もサンプルしていることが分かった. 例えばロサンゼルス堆積盆地内の観測点ペアについては, 遅れて来た高周波数の波も見られスペクトログラムからは分散性が確認できた.

Reporter: 岩田 知孝 [Tomotaka IWATA]
Title: Boore, D. M. (2004)
Ground Motion in Anchorage, Alaska, from the 2002 Denali Fault Earthquake: Site Response and Displacement Pulses
Bull. Seism. Soc. Am., 94(6B), S72-S84
Summary: 2002年アラスカ・デナリ地震(Mw7.9)のアンカレジ強震観測網で観測した記録に関して,以下の分析を行った.
(1)みかけ周期10秒以上の長周期地震動が4回観測され,その震動方向と震源過程(Frankel, 2004)との対比により,サブイベント1からのP波,S波,サブイベント2及び3からのS波であると結論づけた.
(2) サイト増幅特性をVs30による表層地盤分類によって比較した. 経験式と必ずしもあっておらず,表層地盤分類だけでなく,深部構造の影響の評価が必要である.
(3) 周期10秒程度の周期帯域におけるデータとNEHRP2003のSeismic Design Codeとの比較を行い(絶対値ではなく周期特性として),デザインコードがこの記録の特徴を包含していることがわかった.

Return