1999年8月17日に起きたトルコ・コジャエリ地震の震源近傍地震動記録について 1995年兵庫県南部地震時の記録と比較をしました.9月10日の●HK特集 に追いついたってとこです.きっかけは当然,あの震動台の揺れはほんまかいな, てのが動機ですが.参考にしてくだされば幸いです.

【地震記録】
Kocaeli地震の記録としては,EARTHQUAKE RESEARCH DEPARTMENT, GENERAL DIRECTORATE OF DISASTER AFFAIRSのftpによって提供されているもので,そのうち最大加速度値と なっているSKR観測点です.残念ながら水平は南北成分しかありません.比較するのは 兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台波です.この2つの加速度波形を以下に 示します.


図:左(上)がSKR観測点の記録,右(下)が神戸海洋気象台記録.時間軸はトータルで2分.最大振幅は神戸の方が約2倍.継続時間は似たようなものだ.


加速度波形を比較すると,SKRの方がむしろ高周波数が卓越している. これを積分して速度波形とするとその様子が変わる

図:おなじみ神戸(下)の方は1秒のパルス波がみえるが,SKR(上)は10秒近いパルス波であることがわかる.最大速度値はSKRが80cm/s 神戸が90cm/sでにたようなもの.
EW成分の速度スペクトルをとると,更に両者の違いが明確になる. SKRの波形は0.3Hz より低周波数側と,3Hzより高周波数側で神戸のスペクトルを上回っている.神戸の場合の建物被害に関連したと言われているやや短周期領域(0.5-2.0Hz )には相対的にパワーがないことがわかる.
震源近傍強震動の特徴としてパルス波が上げられるが(Landers, Northridge, Kobe)Kocaeli地震でも震源近傍観測点でパルス波が観測されている.その卓越周期は 10秒近くあり,強震動生成領域が(神戸に比して)大きいことが予想される, (1点記録からものいうのはまずいかもしれないが)
ちなみに SKRは震央より東にあり,破壊の進行方向にあたっていることは確実である. (USGSやIZINETの震源からでは約30km離れているが(下の観測点図参照),SKRのSP時間は2秒ほどしかない.今後検討する必要がある.)

赤がSKRの振幅スペクトル,黒は神戸海洋気象台の振幅スペクトル.


加速度応答スペクトルと速度応答スペクトルの比較.東西成分.h=5%.横軸は周期.

【計測震度】
公開されているデータを用いて,気象庁の計測震度を計算しました. figure
このSKRは計測震度6弱でした.

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