アンケートの質問について
Q:
過去の地震(100年以上前のもの)についての調査方法
A:
古文書に地震被害や津波被害についての記載があるため,その被害域等から地震規模や震源領域を推定している。また,活断層調査では,ずれた様子がわかる地層の年代測定を行って,数千年前に活動した、といった情報を得ている。
Q:
揺れのシミュレーションはどうやって行われるのか
A:
地震波は弾性体の振動現象として定式化することができる。また,断層の動き
は,2組のカップル力源に置き換えることができる.これによって,外力項つ
きの微分方程式に書くことができ,それを有限差分法,有限要素法等で解くこと
により地震動のシミュレーションができる。
参考文献「地震の揺れを科学する」
http://sms.dpri.kyoto-u.ac.jp/iwata/oyo/a.html
Q:
気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードの算出方法,なぜ使い分け
る必要があるのか
A:
地震(震源断層の動き)のマグニチュードは結局は観測される揺れを通して決める。
気象庁マグニチュードは,気象
庁の周期5~6秒の地震計(下のページでは中周期変位計)で測った地面の最大
変位から計算します.
http://www.jma-net.go.jp/ishigaki/school/200305/jisin05.htm
*)
一方モーメントマグニチュードは,
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq7.html
に書いてあるようなものですが,実際破壊領域やすべり量自体は地殻変動(GPS
データ)や地震記録から推定します.
物理的に明快なモーメントマグニチュードに統一すればよいのだが,気象庁の膨
大な過去のデータベースは,気象庁マグニチュードしかないので,それとの関係
での大小や特性を知るために気象庁マグニチュードが求められ,公表される.
*)のページにあるように,マグニチュードはいろいろあるが,その時に存在
し,広く使われた地震計の記録から決めることのできる情報であった.ディジタ
ル処理できる今ならなんでもよいのだが,紙に書いた記録しかない場合はそれを
使った指標になるのは仕方なかった.
それぞれのマグニチュードは,1m=何インチ,といったような等号で示される
ものではない.また地震自体も,小さい地震より大きな地震の方が大きな揺れを
起こすが,各周期に着目すると,短周期を強く出す地震や長周期を良く出す地震
があることもわかっている.これらの研究が,アナログデータ時代には例えば
MJMAがmbより大きいとか小さいとかいう特徴を調べることで分析できたこともある.
それぞれのマグニチュードが,人の身長と体重の差ほどはないと思うが,強いて
言えば,身長と胸囲と座高,といった特徴を表していて,それから,やや小太り
だとか,すらっとした地震(変な言い方だが)という風に思うことができる.
ただ,社会的には1個の方がよいので,今回のことから,気象庁も気象庁マグニ
チュードが中心ではなく,MWとMJMAを併記するのではないかと思う.
Q:地震の正確な予知が可能となる見込みはあるか?
Q:ピンポイントで予測することはできるのか?
Q:地震予報の技術の進歩は?
A:岩盤の破壊現象であることがわかっているので、例えば棒に力を加えていくとポキッと折れる直前に折れる時がわかるかどうかという問題と類似しているように考えることができる。力のかかり具合の変化と強度がモニターできれば予想できるようにも考えられるが、強度が時間的に変化しているらしいという観察事実がわかってきた。岩盤の中の流体の存在が鍵を握っているようだ。といったところから発生の予測を考えているところだ。実用化されるのはまだ先だろう。岩盤がずれた時に揺れがどれくらいになるかという揺れの予測は,地震被害想定に使われているように,実用化された考え方がある。
Q:
京大のそばの活断層について
A:
花折断層が吉田キャンパス北部構内を横切っている。
京都盆地-奈良盆地断層帯南部(奈良盆地東縁断層帯)の評価
では、最新活動時期と繰り返し間隔とも十分な精度がないものの,起きる確率が大きい方をとると,起きる可能性としては主たる活断層の中では高い部類に入っている。
Q:
地震の活動期が存在するか
A:
関西では東南海南海地震が繰り返す前後において、巨大地震が起きる前に活断層に関する地震が多く起きている歴史的事実(統計的に有意)がある。
Q:
東海大地震の揺れと津波について
A:
東海地震を指しているとすると,例えば、内閣府中央防災会議では
東海地震対策
の評価を行っている。
Q:
過去の地震の結果からの予測はどれほど正確なのか?
A:
同じところで起きている地震でもいろいろな特徴があることが今回の東北地方太平洋沖地震でもわかった。発生様式の詳細な解明が,今後の地震の特徴と予測精度をあげると考えられる。
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